目が青い猫は、その美しさから人気が高いですが、一部の病気を発症しやすいことはご存じでしょうか?目の青い猫の種類によって、飼育に気を付けるべき点などがあり、知識がないと愛猫の健康を害してしまうのです。
今回は、目が青い猫の特徴や、各猫種ごとの性格や飼い方・気を付けたい病気について紹介します。各品種の特徴や注意点を把握し、生態に適した飼育をしてあげましょう。
本当は青くない⁈猫の目が青く見える理由!
まず初めに、何故一部の猫の目が青くなるのかについて紹介します。
青い目の猫は、虹彩(瞳孔の周りの色が付いた部分)のメラニンが少ないため、青い目になります。光は振動数により赤・橙・黄・緑・青・藍・紫と変化するのですが、特に分かりやすい光が、振動数が低く波長が長い赤い光と、振動数が高く波長が短い青い光です。
虹彩のメラニンが少なく小さい場合は、赤い光はメラニンに吸収されるのですが、青い光はメラニンに全てを吸収されないため、人間からは青く見えます。一方、虹彩のメラニンが大きく多いと、赤い光・青い光共に吸収されるため、メラニンの量により青・緑・黄・茶と変化するのです。
目が青い猫の特徴
続いて、青い目の猫の特徴について紹介します。虹彩のメラニンの量が少ないと青い目になると分かりましたが、性格や障害にも共通点があるのです。
特徴①ブルーにも濃淡がある
青い目にも色の濃淡があり、メラニン量により
淡い青の”アクア”、真ん中の濃さの”ブルー”、濃く緑がかった”サファイアブルー”の3種類に分けられます。アクア・ブルー・サファイアブルーは、レイリー散乱により変化しているだけなので、特に目の青の濃淡によって大きな違いがあると言う訳ではありません。
特徴②性格は繊細で神経質
青い目の猫はその美しさから高貴なイメージがありますが、まさに性格も
神経質であったり繊細になりやすいようです。茶色の目の猫に比べ、知らない人に懐きにくく、警戒心が強い特徴があります。
また、とても繊細な性格をしているため、暴れたりヤンチャをしないようです。さらに、ペットとして飼われる前の時代には青い目の猫は自然界で目立つ存在で、危険な目に遭いやすい存在でした。
その為、人以外にも猫に対しても警戒心や敵対心が強く神経質でもあるのです。しかし、
一度心を開いた相手にはべったりと懐く甘えん坊な性格で、そのツンデレ具合も青い目の猫の魅力となります。
特徴③白毛+青目は耳に障害がでやすい?
虹彩のメラニン量により青い目に見えると紹介しましたが、メラニンは毛質にも影響します。猫も人間と同じでメラニンの量が少なくなればなるほど、白っぽい毛色に変化するのです。瞳も青く、毛も白いということは、かなりメラニンの量が少ないです。
白毛に青目はとても美しい見た目にはなるのですが、
60~80%に聴覚障害があると言うデーターも報告されています。また、片方だけ青目のオッドアイも、青目の方の耳にだけ聴覚障害があったり、白毛の猫も聴覚障害が発症しやすいなど、
色素細胞により内耳形成に影響があるのではないかと言われているのです。
子猫時代だけ目が青い「キトンブルー」
続いて、子猫の時だけ青い目になる現象の「キトンブルー」について紹介します。猫は青目から茶目・黄目など様々な色の目がありますが、子猫の時はみんな青い目をしていました。
子猫は生まれて間もない頃、極端に虹彩のメラニンが少ないようです。その為、
生後3~4週ぐらいまでは、みなキトンブルーとなります。
しかし、生後3~4週を過ぎると徐々にメラニンも多くなっていき、本来の目の色を取り戻していくのです。一方、成猫になっても青目の品種の猫は、成長するにつれ目の色素が薄くなっていくことも多いとのことです。
目が青い猫10種類
続いて、目が青い猫の代表品種の特徴や性格、飼い方や気を付けるべき病気について紹介します。目が青い猫と言っても、品種により飼育方法や、かかりやすい病気が違うのです。各猫種ごとの注意点をよく理解し、愛猫の健康寿命を延ばしてあげましょう。
目が青い猫種①シャム
シャムはタイ
王国原産で短毛種の猫で、古の時代は王室や貴族、寺院など身分の高い家でしか飼われなかったようです。また、シャムと呼ぶには、サファイアブルーの瞳が条件となります。
特徴・性格
シャムは
V字型の顔、長く細い尻尾と両手足、ピンと張った肉の薄い耳が特徴です。全体的にスタイリッシュなフォルムな上に、
非常に賢いため、人気が高い種類です。しかし、
感受性が高く、自己顕示欲が強いため、活発な動きをします。
飼い方
シャムは、人に遊んでもらうことが大好きなかまってちゃんです。また、
身軽なフォルムなので運動量も多く、ある程度広い部屋でないとストレスを与えてしまいます。さらに、
いたずらっ子な一面もあるため、猫の飼育に慣れた方におすすめの猫種でしょう。
気をつけたい病気
シャムが気をつけたい病気は、
眼球振盪や慢性腎不全です。特に、腎臓の病気は一度機能が低下すると、元に戻ることはないため、常に気をかけておいた方が良いでしょう。
目が青い猫種②バーマン
バーマンは、ミャンマー周辺が原産と言われる猫で、現代西洋で飼育されているバーマンはシャムやペルシャとの混血とのことです。
特徴・性格
バーマンの
背中には、”ゴールデンミスト”と呼ばれるクリーム色の毛が生えています。また、脚・尻尾・顔・耳はこげ茶色や淡いグレー色の毛が生えています。
全体的にしっかりとした体格で、胴が長く、手足も太い特徴があります。
また、
グローブ・レースと呼ばれる前後手足の白いポイントカラーが特徴です。性格は、心のバランスが取れた猫なので、
飼い主への忠誠心も強く、飼育しやすいです。
飼い方
バーマンは穏やかな性格をしている猫ですから、子供がいる家庭でも飼育できます。遊んであげたり、一緒にいる時間が長く取れる方におすすめです。また、毛玉ができにくい毛の長さではありますが、
定期的にブラッシングをしてあげなければいけません。
気をつけたい病気
バーマンは遺伝性疾患にかかりやすく、
股関節形成不全・先天性貧毛症・先天性白内障・ムコ多糖症VI型などに注意が必要です。
目が青い猫種③ラグドール
ラグドールは、
白いペルシャとシールポイントのバーマンの猫が、バーミーズと掛け合わせ誕生したと言われています。詳しい生い立ちは不明ですが、1965年にアメリカで品種登録されました。
特徴・性格
白くてふわふわの長髪毛が特徴で、身体は比較的大きい方です。優しい性格のラグドールは人間も大好きで、
抱っこも好みます。また、人間の子供との関りも寛容で、鳴き声も静かです。
飼い方
ラグドールは人懐っこい性格の持ち主なので、丁寧に猫と関われる方におすすめです。また、長髪毛で毛が絡まりやすいため、こまめにブラッシングをしてあげて下さい。
性格に至っては、穏やかで寛大なので初心者の方にもおすすめなのですが、
帰巣本能が強い一面もあることから、譲渡や引っ越しの際はストレスを最小限にしてあげる配慮が必要です。
気をつけたい病気
ラグドールが気を付けたい病気は、
肥大型心筋症・多発性嚢胞腎・基底細胞腫・尿石症・膵炎・下部尿路疾患・眼瞼内反症・毛球症です。いくつも危険な病気があるため、少しの体調の変化も見落とさないようにしましょう。
目が青い猫種④バリニーズ
バリニーズは、
タイのシャム猫が突然変異を起こし、長毛の形質になったことで誕生した猫です。バリニーズの名前の由来は、バリのダンサーの優美さから取られています。
特徴・性格
バリニーズはトラッドスタイル体型とモダンスタイル体型の2種類がいます。
4種類のポイントカラーが特徴で、社交的かつ遊び好きで探究心があり、賢い性格です。
飼い方
スキンシップが好きなバリニーズは、飼い主との時間も長く必要です。また、
非常によく鳴く猫種でもあるため、周りからの騒音トラブルを気にしない方におすすめでしょう。
気をつけたい病気
バリニーズが気を付けたい病気は、
大動脈弁狭窄症・進行性網膜萎縮症・糖尿病・リンパ腫です。大きな病気が心配されるので、少しの異変を見つけたらすぐに動物病院で診てもらいましょう。
目が青い猫種⑤ヒマラヤン
ヒマラヤンは、北アメリカとイギリスを原産国とする猫で、
ペルシャとシャムの異種交配により誕生しました。また、毛色がヒマラヤウサギに似ており、そこから由来して名付けられています。
特徴・性格
ふわふわでエレガントな毛質が特徴で、太っているように見えますが意外と筋肉質です。高貴な見た目のわりに性格は
温厚で、物静かとなります。
飼い方
ヒマラヤンは高い所へ上ったり、激しく動き回ることを好まず、
静かにゆっくり過ごすことが好きな猫です。その為、騒がしくない環境がベストでしょう。また、自分から寄ってくるなど甘えん坊な一面もありますが、
気が向いていない時にむやみやたらに触るとストレスを与えてしまいます。
気をつけたい病気
ヒマラヤンが気を付けたい病気は、
多発性のう胞腎・流涙症です。特に、多発性のう胞腎はペルシャの血を引くことで発症しやすいと言われているため、水を体調に飲み始めたり、食欲が落ちたと感じた場合はすぐに病院へ連れていきましょう。
目が青い猫種⑥スノーシュー
スノーシューはアメリカを原作国とする、
アメリカンショートヘアとシャムの交配で誕生した猫です。足にスノーシュー(雪靴)を履かせたような模様があるため、名付けられました。
特徴・性格
雪靴を履いたような足の模様と、マスクを付けているような口周りの白い毛が特徴で、体型はセミフォーリンタイプとなります。また、性格は
甘えん坊で、常にかまってもらいたいタイプです。
飼い方
スノーシューは
活発な運動を好む猫なので、キャットタワーを置くことをおすすめします。また、ある程度広い部屋でないとストレスを与えてしまうでしょう。
さらに、猫では珍しく、水を怖がらない子も多いため、泳ぎが得意な可能性も有ります。一人でいることを嫌うため、家を開けがちな人には向かないでしょう。
気をつけたい病気
スノーシューが気をつけたい病気は、
軸索変性症・下部尿路症候群です。軸索変性症は遺伝が関係しかかると言われていますが、病気自体の症例が少なく、明確な病因は判明していません。
目が青い猫種⑦オリエンタル
オリエンタルショートヘアは、1950年代~1960年代に
サイアミーズ・ショートヘア・ロシアンブルー・アビシニアンの交配により誕生しています。
特徴・性格
スタイリッシュなフォルムと長い手足・大きな耳が特徴のオリエンタルショートヘアは、150種類以上もの毛色とパターンがあります。また、
甘えん坊で人懐っこく、運動神経も抜群です。
飼い方
人との時間がいるオリエンタルは、1人の時間はストレスを感じてしまいます。その為、積極的に猫と遊びたい方に向いているでしょう。また、活発な猫なので、
最低でも1日5分~10分はしっかり遊んであげて下さい。
気をつけたい病気
オリエンタルショートヘアの気をつけたい病気は、
大動脈弁狭窄症・進行性網膜萎縮症・糖尿病・リンパ腫です。リンパ腫に関しては、猫種的にかかりやすい病気なので特に注意しましょう。
目が青い猫種⑧ターキッシュバン
ターキッシュバンは、トルコを原産地とし、猫では珍しく泳ぐことを好む生態があります。また、この泳ぐ生態から、「
トルコの泳ぐ猫」とも呼ばれているようです。
特徴・性格
ターキッシュバンは、
ふさふさの尻尾と長い胴が特徴です。長髪毛ではありますが、生態からか水をはじく毛質をしています。性格は
社交的で家族への愛情が強く、他のペットとも良好な関係を築きやすいです。
飼い方
ターキッシュバンは泳ぎが得意だったり、身体を動かすことが大好きです。その為、
狭い場所を嫌い、車やゲージの中に入れておくことはできません。
また、水が大好きなので、
トイレやシンク・お風呂場では水遊びをしたがります。危険だと思う場所は、必ず蓋を閉めておきましょう。
気をつけたい病気
ターキッシュバンのかかりやすい病気は、
肥大型心筋症・聴覚障害・皮膚病です。長髪で防水性のある毛質をするターキッシュバンは皮膚病にかかりやすいため、特に夏場は頻繁にブラッシングをし、皮膚に異常が無いかチェックしましょう。
目が青い猫種⑨カラーポイントショートヘア
カラーポイントショートヘアは、アメリカ・イギリスを原産国とする猫で、
シャムとアメリカンショートヘアーなどの交配によって誕生しました。
特徴・性格
シャムのような
ポインテッドと豊富なカラーが特徴で、鳴き声のパターンが多いです。また、性格は
賢く遊び好きで、明るい反面、神経質な一面も持ちます。
飼い方
運動量が多い種類でもあるため、1日1回はまとまった時間に集中的に遊んであげましょう。また、小柄な猫なので、食事を与えすぎてしまうと肥満になりやすいです。
気をつけたい病気
ポイントカラーショヘアのかかりやすい病気に遺伝性の疾患はありません。しかし、猫全般に見られる腎不全・尿結石・膀胱炎には注意が必要です。
目が青い猫種⑩スキフトボブテイル
スキフトボブテイルはトイボブとも呼ばれており、1980年代後半にロシアで発見された
シャム 色点突然変異遺伝子を持つ猫です。成猫になっても子猫ほどの大きさなことから、「
最小の猫種」と呼ばれています。
特徴・性格
スキフトボブテイルは、平均するとメスは1.7キロ程度・オスは2キロ程度とかなり小さな猫で、鳴き声も小さいです。また、
短い胴体・しっぽが特徴的で、よちよち歩く姿は堪らないでしょう。性格は
おっとりしており、人見知りはあまりしません。
飼い方
スキフトボブテイルは抱っこも好むほど甘えん坊な性格なので、
一人で留守番は苦手です。その為、日常的に仕事などで家を開けなければいけない方は向いていません。
気をつけたい病気
スキフトボブテイルは誕生から日が浅い種類なので、現在は遺伝性の疾患は報告されていません。しかし、身体が非常に小さいため、高カロリーな食事を続けるとすぐに肥満化してしまいます。
目が青い猫は美しくて魅力的!
今回は、目が青い猫の特徴や性格から、品種ごとの飼い方やかかりやすい病気について紹介しました。目が青い猫はその美しさから人気が高いですが、繊細で聴覚障害を起こしやすいなど飼育が難しい部分もあります。
また、猫種によってもかかりやすい病気や飼育の注意点が違うため、飼育前は必ず愛猫の品種ごとの飼育方法をチェックして下さい。注意点を予め近いすることで、愛猫の健康寿命を延ばし、楽しい猫ライフが送れるでしょう。