日本ではそれほど数は多くありませんが、鳥猟をするハンターのパートナー犬としてセッター犬やポインターといった犬種が挙げられます。この2犬種は共通した特徴もありますが、異なる点もあります。この記事ではセッター犬とポインターの違いや、代表的なセッター犬の犬種ごとの特徴について詳しくご紹介しています。
セッター犬とポインターとの違いとは?
鳥を狩猟するためのパートナー犬としてセッター犬とポインターが挙げられます。雰囲気の良く似たセッター犬とポインターですが、実はそれぞれに特徴があり、犬種としては異なります。セッター犬とポインターの違いについて考察していきます。
セッター犬の特徴は?
まだ猟銃のない時代、木々の上に張った網に掛かるように鳥などの獲物を飛び立たせるスパニエル系の犬、フラッシング・ドッグが、ハンターのパートナーとして活躍していました。
そのフラッシング・ドッグの中に獲物を発見すると
伏せ(セット)て知らせる個体が現れ始め、その個性を強めるように交配を進めていった結果誕生したのがイングリッシュセッターやアイリッシュセッターに代表されるセッター犬です。
猟のために
長時間の運動に耐えられる強靭な肉体と体力を有し、そして獲物を発見して
「セット」したときにハンターから認識しやすい毛色に改良されていきました。
ポインターの特徴は?
ヨーロッパ南方に土着していた犬がイギリスへと渡り、猟犬として改良されたのがポインターの起源です。。1800年代後半にはアメリカに渡ることになります。
当時のポインターは猟に対する意欲がとても強く、それが負けん気の強さとなって表れついには人間にとって扱いにくい犬になってしまったため、セッターとの交配を重ね性格の穏やかさを兼ね備えた犬となりました。
ポインターの猟は、
獲物を認識すると姿勢を低くし、片足を上げる「ポインティング」をして人間に知らせる行動が特徴です。
イギリス猟犬の傑作とも言われるポインターは、均整が取れた美しくしなやかな筋肉質の身体と優れた運動能力、そして嗅覚を持っています。
セッター犬とポインターは共に猟犬だがここが違う
15世紀に入り火縄銃が発明されると、貴族の間でスポーツとしての狩猟が流行します。獲物を仕留めるのはハンターの持った火縄銃ですから、猟犬たちの仕事は獲物を仕留めること以外の分野において細分化されていきました。
鳥猟犬であるセッター犬とポインターの仕事は、獲物である鳥を認識したら、鳥に気付かれることなく
静かにその居場所をハンターに知らせるということです。
セッター犬とポインターの違いは、獲物の居場所を知らせる際の姿勢にあります。
セッター犬は伏せ(セット)の姿勢、ポインターは姿勢を低くし、片足を上げる「ポインティング」姿勢を取ります。
代表的なセッター犬の種類をご紹介!
ここからは代表的なセッター犬を犬種ごとに詳しくご紹介します。世界中には実にさまざまなセッター犬がいて、それぞれに特徴がありますのでぜひチェックしてみてください。
セッター犬①アイリッシュセッター
特徴的な
赤茶色の長毛が風にたなびく容姿が美しいアイリッシュセッターは、1700年代にアイルランドで生まれた歴史あるセッター犬です。
スリムですが身体はとても筋肉質で、その
持久力には定評があります。なんと、アイリッシュセッターは1日に100キロ以上も走ることができるのです。飼育するさいには運動をたっぷりと与えてあげることが重要です。
人間に対しては友好的な性格でとても明るく、トレーニングにも積極的に励みます。
大型犬の中では12歳~15歳と長寿で、ていねいに飼育すれば多くの時間を共に過ごすことができるでしょう。
セッター犬②イングリッシュセッター
イングリッシュセッターは世界中で最も良く知られているセッター犬です。現在はフィールドタイプとショータイプに分かれ、猟犬として活躍しているのはフィールドタイプのイングリッシュセッターです。
知能が高く賢いのでしつけやトレーニングは入りやすい犬種ですが、犬を熟知した人が知的な遊びやトレーニングを取り入れながら、豊富な運動意欲を満足させてあげることが大切です。
水泳も大好きなので、運動の一環として取り入れても良いでしょう。被毛はウエーブがかかった非常に柔らかい長毛なので、手入れを怠ると絡んでしまいます。ていねいにブラッシングして手入れをする必要があります。
セッター犬③ゴードンセッター
スコットランド原産の
ゴードンセッターは、セッター犬の中では最も大型です。鳥猟犬としてとても優秀で、
ゴードンセッターが静止した場所には必ず獲物がいると言われるほどです。
毛色はブラック・アンド・タンで、そのつややかな被毛はややウェーブがかかっていて柔らかいですが、厚みもしっかりとあるので
過酷な寒さの中でもしっかりと仕事ができるのです。
明るく好奇心旺盛で人間にはとても友好的で、トレーニングの入りも良好です。身体が大きく持久力もありますので、毎日のたっぷりの運動はかかせません。
セッター犬④アイリッシュ・レッド・アンド・ホワイト・セッター
引用:ウィキペディア
アイリッシュ・レッド・アンド・ホワイト・セッターは、アイルランド原産のセッター犬で、前出のアイリッシュセッターの原種でもあります。
とても明るい性格のアイリッシュセッターと比較すると、アイリッシュ・レッド・アンド・ホワイト・セッターは、
友好的ではありますが穏やかで温厚、落ち着きがあるので、子供や他の犬とも上手に接することができます。
トレーニングの飲み込みが早く優れた身体能力を持っているので、実猟犬として、また、ドッグスポーツのパートナーとして最適です。
セッター犬⑤ショートヘア―ド・ハンガリアン・ビズラ
主に「ビズラ」と呼ばれるショートヘアード・ハンガリアン・ビズラはハンガリー原産で、ドイツ原産のワイマラナーの先祖とも言われています。
筋肉質で引き締まった身体と小さな目とたれ耳、艶のあるブラウンゴールドのスムースコートが特徴です。
寒さには強くないため、冬季は猟の仕事を休み家の中で家族とともに家庭犬として過ごすという、季節労働者のような犬種です。いつでも飼い主ととも過ごしたがり、
やや繊細な一面もあるため、接し方には注意が必要な場合もあります。
セッター犬⑥イタリアン・スピノーネ
ゴワゴワとした被毛が特徴的な、イタリア原産のイタリアン・スピノーネは13世紀にはその存在が確認されている古い犬種です。
硬く丈夫な被毛は風雨や泥、草木のトゲなどから身体を守る防具の役割を果たしており、イタリアン・スピノーネは
どんな天候でも、どんな場所でも猟犬としての実力を発揮することができます。
体重30キロを超すがっしりとした身体つきですが、家族に対しては非常に友好的で温厚です。対して見知らぬ人間は警戒し、なかなか心を開きません。したがって
番犬としても非常に頼もしい存在となります。
セッター犬⑦スモール・ミュンスター・レンダー
ドイツ原産のセッター犬であるスモール・ミュンスター・レンダーは体
重約15キロ前後の中型犬で、鳥猟犬の中では小さめな犬種です。
獲物を発見してポイントするだけでなく、人間が撃ち落とした
獲物を回収するレトリーバーとしても活躍することができる器用さを持ち合わせています。
人間や犬が好きで温厚な性格なのでペットとしても人気が高くなっていますが、見た目以上に運動量が豊富なのでしっかりと運動を与えてあげましょう。
仕事をして人間を喜ばせ、関わりを持つことに生き甲斐を感じる犬種ですので、ペットとして飼育する場合も好奇心や作業意欲を満たすための工夫が必要です。
セッター犬⑧ラージ・ミュンスター・レンダー
引用:ウィキペディア
ラージ・ミュンスター・レンダーもドイツ原産のセッター犬です。こちらは体重約30キロ前後、大型犬に属します。獲物を発見してポイントし、ハンターに知らせる他、撃ち落とした獲物を回収する作業もこなします。
柔らかい長毛はとても優雅な印象を与え、性格は温厚です。
ヨーロッパでは人気の犬種で、実猟に使うというよりはドッグショーに出したり、ペットとして飼育されることが多くなっています。
セッター犬を迎える時に気をつけたいこと
セッター犬はどの犬種もほぼ大型犬に属し、体重は30キロ近い犬種も存在します。近所をゆっくり歩く
散歩だけでは大型犬にとって充分な運動にはなりません。
広場などへ出向いて一緒に走ったり、ボールなどのおもちゃを使って遊んだりという運動が欠かせません。そのためには飼い主の体力も必要ですし、運動をさせるための時間も必要です。
知的な犬種でもありますので、頭を使うトレーニングなども与えてあげ、本来の能力や作業意欲を満足させてあげる努力もかかせないでしょう。
また、大型犬は小型犬に比べ
医療費や食事にかかる費用も高額になります。長毛犬の場合シャンプーやトリミングなどの手入れも必要ですので、そのための時間や費用も確保しなければなりませせん。
セッター犬はとても活動量が多い
セッター犬はそもそも鳥猟犬として野山を駆け回り仕事をする犬ですので、屈強な肉体と高い身体能力を有しています。当然、
活動量も多く、その欲求を満たすことは飼い主の義務といえるでしょう。
セッター犬を飼いたいのであれば、
充分な時間や体力、そして経済的な余裕があるかなどを今一度確認することをおすすめします。
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